泊まっていった人は



私の知らない人だった。



さっきからずっと下ばっかり向いて



あぐらをかいて座っていた。




私はどうしてもその顔が気になって



無理矢理あごを持ち上げてみた。



「誰?」



そこに座っていた女の子は、



すぐに下を向いて笑っていた。



「だから、誰?」



私が話しかけても、



彼女の笑いは止まらない。



私の問に答えてもくれない。




そう思ったときに、



私の携帯がなった。



それは、メールだった。





ミラ面白いね。





送信者はハツだった。




私の変な予感は当たった。




「何?変装までして」



「だって誰も気付かないから面白かったんだもん」



ハツは、ずっと前からここに乗り込んでいたらしい。



変装していることも知らずに、皆と普通に話していた。



「何でここにいるの?」



「何でもいいじゃん、これ食べよう?」



目の前にあったクッキーを食べた。



綺麗にそのクッキーを食べて、



ハツは立ち上がろうとした。



「どこいくの?」



「帰る」



「まだ話し出したばっかりじゃん」



私は、



ハツがこの場所に来ていることを知り、



驚いているけど



それ以上に、



もっと一緒にいたいという思いが強かった。




「 「ミラ、俺の言うこと聞ける?」



「え?」



「驚くなよ」



「なになに?」



だてに女として生きているわけではない。



私だって、これくらいの経験はしている。



ここまで言われておきながら、



女がこの発言は告白の前兆であることに



勘付かないわけがない。




期待している表情を面に出さないように



平然とした顔でハツの言葉を待つ。






























「ミラ、俺」



「何?」



「今までミラで遊んでたんだ、ごめん」







「何言ってるの」



「最初にミラに会ったときから、
 ミラは都合の良い女としか見れなかった」



「そんなのわかってたよ。
 私も、ハツとの関係は遊びでしかなかった」



「マジで?」



「だって、ハツ優しいし
 話してるだけで安心できたし、幸せだったし
 でも、私にとってのハツも遊びでしかなかった」



「それなら良かった」



「もう連絡とりあうのやめよう」



「俺もそれ言おうと思ってた」



そのあと



ハツはこの家を後にして、



私は一人になった。



思ってたことを全部言えた。



これでよかったんだ。



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