この間お酒を飲んだ。



自分の中で


まだ、子供だという自覚がなかった。


そんな私を覚醒させた。


私はまだ、



年齢どおり、


正真正銘の子供だった。



煙草もお酒も


とどまることなく、


店員の目をすり抜けてこれたけど、


実際私は現役の高校生だし、


自分のことで精一杯な人間に


これから一人暮らしなんて、


実際無理な話だと思う。


経済力もそうだけど


他に勉強や部活、自炊と掃除



そんなことがあるから、


時間に余裕がなくて


いつも仕事に行く時間も遅くなってしまうし。





「今日これからあいてませんか?」


いつもの店の呼び込み。


常に口を動かし続けて


一人でも多くお客を店に入れることを


仕事として任されている。


うまくいけば勝手におじさんが出資してくれる。 


それを頼りに日給として生活するのが


私の生きていくすべでもある。



勿論私はまだ高校生だ。



「君、昼間制服で見たけど」


こんな質問も、


煙草をすったサラリーマンによく聞かれる。


「昼間は、コスプレ営業なんで」


「頑張るねぇ」


サラリーマンの突然の言葉に、ひるまなくなった。


まだこの年齢のうちから


仕事を始めて、良い社会勉強になっているみたいだ。



決して素晴しい職業とはいえないけど。




立っているだけでお金がもらえて、


自給もそれなりにあって、


高校生でもちゃんと雇ってもらえる仕事なんて


他にないと思うからこそ、


仕事には真剣に取り組んでいる。




「今夜どう?」



こんなことはしょっちゅうだった。


派手な化粧をして外に出ているわけではない、


グロス一つ変えただけで、


男は簡単に寄ってくる。


「犯罪ですよ」


「何歳なの?」


「秘密ですけど」


「ちょっとで良いんだ、一時間もかからない」

「そんなに暇じゃありませんから」


こんな誘いをかわす方法だって、


何時の間にか覚えてしまった。



親のいない家に


真っ直ぐ帰らなければいけない義務感がある。


誰も困ることじゃないけど、


もし帰りに警察にでもあったら、


私は完璧に捕まって、親の元にかえされる。


そんなことが今起きてしまえば、


親に何を言われるか分からない。


もう、元の家に帰るつもりはない。


ずっと、こっちで生活して


きちんと自立して


親の葬式だけ出てやろう。





それでも働き続けないと、


生活していけない。


初めて、働く人間の気持ちが分かった。


働かないと生きていけない。


だから、どんな仕事でも頑張れる。


そういう気持ちが、なきゃ


やっていけないんだろうな。




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