同窓会の日




場所は、和食がおいしいと評判の

座敷の広いお店



「久しぶり〜」


まっさきに声をかけてくれたのは

隣のクラスにいた、友達だった


「え?まじで?彼氏できたの?」


大声で叫ばれたせいで、同窓会に来ているメンバー全員が

私の方を見た


「うん、、最近できた」


「嘘だって〜絶対珠美にできるわけない」


「なんかそれ酷くない?」



冗談交じりでこんなこと交わせるのも、



小学校が一緒で


いつも一緒に笑い会えた仲間だったからなのかもしれない。




「で、誰?」


一人が、真剣になって聞いてきた


それを見て孝夫が物凄く笑ってる



というか、ものすっごい笑顔。


「孝夫、珠美の彼氏誰か知ってるの?」

「あぁ、知ってるよ」


「誰?どんな人?うちら知ってる?」


しつこく聞いてる

自然と私も笑ってる


孝夫が答える


「知らないわけないよなぁ」


だって、孝夫のことだし


「もったいぶらないで教えろって〜!」


「珠美、言ってもいいの?」


「私が言う」

「いや、俺が言う」

「じゃぁ、同時に言おう」


小声で会話がすすんで、


「「うちら付き合ってます」」




婚約発表みたいな、雰囲気で

付き合ってることを発表した


ちょっと面白い


「あんたら・・・」


「おめでとう珠美!」


「結婚するわけでもないから、おめでとうって・・ねぇ・・」


「珠美、あのさちょっと来て」


こっちに5年の頃の担任がいるからと、誘い込まれて


私は、孝夫の方にいった



「あれ?先生いないんだけど」






「・・・・っ」






「え、何」

「聞こえなかった?」

「いや、聞こえた」


「まだ早いかな?」


孝夫の突然の言葉に、

心臓の鼓動がおかしいくらい自分のなかで鳴り響いた



孝夫、、酔ってるのかな・・



「孝夫、酔ってるの?」


「酔ってない・・今日は酒飲んでないし」



孝夫の言ったこと信用していいのかな。




本気で、言った言葉だったのかな





私はどうしたらいいかわからなくなった。


本気で受け止めて良い言葉なのか、


それとも、笑って流して良いことばなのか。



今の私には、突然すぎる孝夫の言葉が










どうしても本気で受け止めることができない






「あ、これください」


とっさに出た言葉が、店の店員に対する

注文だった


「珠美?」


「え?」


さっきの言葉をまるで帳消しにするかのように


私は、孝夫に対して接していた


言われたことは嬉しい


でも、


どれだけ、自分の頭の中で考えても


やっぱり、孝夫の言った言葉を本気にすることができない。


「だめ・・・なの?」



「ううん、だめじゃない」


「じゃぁ、突然どうしたの?」


とりあえず、思った言葉を孝夫にぶつけてみた


「私さ、どうしても孝夫の言ってることが本気にできない」

「本気にしていいよ?」

「でも・・まだ付き合ったばっかだし」


「関係ないじゃん」


一言でどんどん帰ってくる。


私がこんだけ悩んだことを、簡単に返してる


迷いがない、嘘がない


純粋な気持ちが


自然と言葉に表れてる




私は自然と、目の前のいすに座っていた

背もたれに左手をかけて、


右手で自分の目を覆う



うつむいて、ひざと床しか見えない私の視界に


孝夫の顔が入ってきた



そして覗き込むようにして、私の顔を見ている


「珠美、俺





 本当にお前のこと好きなんだ


 好きだから、一生守って生きたいと思った

 好きだから、一生一緒にいたいと思った

 だから、

 だから・・・・」


さっきまで見えていた孝夫の顔が

真っ黒になって


孝夫も私と同じように、


イスじゃなく、地面にひざまずき


うつむいていた





「なに二人して泣いてるの?」

「この状況で話しかける馬鹿どこにいるんだよ」

周りの人の声とか

聞こえてるけど、返すことはできなくて



孝夫の


うつむいた姿を見ているので

精一杯だった


どう返事をすればいいのかわからない


答えが出ない




「俺・・本気でお前と一緒じゃなきゃだめだ」


今の言葉で、


完全に迷いが晴れた



長い長い、問題の答えを







やっとのことで、とくことができた
















「私も、孝夫と一緒じゃなきゃだめ」


孝夫の顔が上がった



「いいの?」


「いいのも何も、だめにする理由がない」




「あらためていうけど・・さ」


「結婚しよう」



もう、、自分が自分じゃなくなってるけど


いつもの自分じゃないけど、


でも、これは本音だから・・


言って後悔なんてしてない



そして、私は言う

「皆!!うちら結婚することになったよ!!」








孝夫の突然の告白



私達は、一気に距離が近くなった


今まで、居場所もわからなかたくらいの私達が



こうして今、いつでも一緒にいることができて

互いの距離を確かめ合える関係になって


目の前に、


好きな人がいて


そして今















とっても幸せです。




8話(最終話)
終り。



2006.11.21(tuesday)

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