見つけたよ

広い大地にたつ、君の姿

探せたよ

今、そこにいる 君の姿



きっと、明日にならないとわからないと思う

「孝夫、どこにいたのさ」
「は、お前誰だよ」

記憶がないのか、

ただ、忘れているだけなのか。

どっちなんだろ

「ほら、小学生の頃の」
「は?意味不なこと言うなって」

なんか、無駄にきれわられた気がした。

私は、確かに覚えている

あの、孝夫のはっきりとした目

そして、輪郭

孝夫は、昔のまま変わってないのに


私って、そんなにかわってるのかな


「珠美だよ」
「たまみ?」
「そうそう、思い出した?」
「誰、それ」

名前を、言っても思い出してくれないほど

つらい思いをしたことは

ない

「青山小、覚えてないの?」
「あぁ、、青山町のだろ」
「青山小のとき、2ヶ月だけ隣のせきだったじゃん」

顔を、しかめて

問い返される。

「じゃぁ、珠美は今何歳ですか」

あきれた、口調で吐かれた言葉。

普通の女性には、失礼だと気を使って聞かない言葉だけど

孝夫の言う言葉、一つ一つは

私をからかっている言葉にしか、聞こえない。

「19  だけど?」
「はい、俺のほうが年上〜」
「は?」
「俺は、20だから」
「私は、遅生まれだからさあと1ヶ月ちょいで20だよ」

今は、8月30日

一ヶ月ちょい後は、10月3日くらい?

「5月なんだ」
「へ?なんか、戻ってるよ」
「違う!俺の誕生日だって」

5月……。

5月生まれの人、といえば孝夫というイメージは

はっきりいって、ない。

私は、人の誕生日を把握できるほど

すごい頭を持ち合わせていない。

普通は、そうだと思うけど

なんとなく、感覚で覚えるタイプだから

「で、、私のこと思い出せた?」
「あぁ、なんとなくね」

なんとなく、という回答は望んでいなかった。

普通は、YESかNOしかないのに

最近の答え方には、なんとなくとか、微妙って言う

曖昧な、選択肢が増えている。


「それなら、いいんだ」
「で、なんで珠美は俺を探してたんだよ」
「別に、探してたなんて、一言もいってないよ」
「最初の方で、どこにいたのさ とか言ってたじゃん」

妙な、記憶の残り方だ

「いや、別になんでもないんだけどさ
 見つけたから、話しかけただけ」
「まぁ、どうでもいんだけど」
「今、どこに住んでるの」
「青山町に、戻ってるよ」

孝夫の、意外な一言に

私は、多少の驚きがあった。



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