テストが終わって、
放課後、担任の先生に呼び出された。
最近何回呼び出されているのだろう。
まさ夢が深まっていくような気がした。
「お前最近勉強してるか?」
「してます」
この学校の入試では、300人中6位と
そう悪くない順位で試験を通過した。
この間の成績だって悪くなかった。
昨日やったテストだって、思っていたより解けたし
空白だって少なかった。
成績のことで言われる筋はないと、思った。
「もっと勉強した方が良い」
「何でですか!?」
「お前、大学に行きたいんだろ?」
「一応進学希望です」
「このままの成績じゃ、大学にはいけないぞ」
「全然理解できません」
「もっと勉強しろ、部活なんてやってる場合じゃないぞ!」
担任の先生にここまで言われるとは、
夢にも思っていなかった。
何で勉強しなきゃいけないの?
行きたい学校はそこまでレベルの高い学校じゃないし、
ちょっと勉強したら入れるような学校なのに。
「がんばれよ」
そう言って先生は、帰れという顔をした。
「先生、これで良いんですか?」
「有り難うございます、助かりました」
私は、勉強に力をいれようとは
思わなかった。
今まで勉強と部活しかやってこなかった私から
その1つを取ったら、
勉強しか残らなくなる。
勉強しか残らない、空っぽな自分は
嫌だ。
私がその呼び出しの後、
一人で歩いて向かったのは、
何故か、公輔のところだった。
部活が休みなので、
放課後に公輔の家に行った。
「公輔!」
私が突然会いに来たからか、とても驚いていた.
まだ制服を着ていたその姿は、
なんだか少しだらけていた。
「どうした?急だな、連絡いれてくれたら
迎えに行ったのに」
「迎えに来てもらうような距離じゃないよ」
「入って」
そういわれて、家の奥に進むと
公輔の部屋が、和室だということに気付いた。
「古い家なんだ。この部屋、前にばあちゃんがいてさ」
色んな話を聞いた。
何か、中学生の時とは違う雰囲気。
どうしてかわからないけど、少しだけドキドキした。
「それでね、相談なんだけど」
「何?」
話題を切り出すと、お互いにさっきまでの顔がこわばった。
「先生に、部活なんてやってる場合じゃないって言われたの。
だけど、私、部活をやめたら何も残らなくなっちゃう。
なのに、進学もしたいからやめたくないんだ」
「それが相談…?」
「うん」
え?っという顔をされた。
「どっちもがんばれ」
どっちも頑張れなんて、簡単に言うけど
普通に勉強するだけとはわけが違う。
今だって充分勉強しているのに…
今以上に勉強時間増やしたら、
部活続けられないし…
涙が出た
私の目の前は、真っ暗になった。
その暗さは、
涙のせいじゃない。
目元が暖かくなって、
次第に体も暖かくなって
目が開いているはずなのに、真っ暗で
そしたら、急に明るくなった。
「俺、全力で応援するよ」
応援してくれる人の為に
私は、また
涙を流した。